「殺人犯はそこにいる」を読んだ感想

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清水潔著。2013年に単行本、2016年に文庫版が出版されています。今回読んだのは文庫版。
なんでこんなおもしろそうな本を今まで読んでいなかったのか謎。もう小説はあまり読む気がしないけど、ルポ、ドキュメンタリーの類いはまだいけそうなのでアンテナを伸ばしておかないとな。

ちょっとガチめの感想を書こうかと思いましたが、出版当時に多数の人によって書かれたということでやる気が削がれたので控えめにします。
結果的にこの本のメインとなってしまった「足利事件」の冤罪確定までの経緯を見て、「警察や検察の中には凶悪殺人犯よりやべーやつがいる」ということ、そして組織全体としてもそのやべー方向に進んでいるということを感じましたね。
殺人犯を始め、犯罪者が相手なら「やり返す」という選択肢もありますが、警察・検察相手ならその選択肢すら封じられてしまいます。その結果、ただ権力に踏みつぶされるしかないわけです。

私は死刑に対して「感情的には賛成」という立場ですが、こういうケースを目の当たりにすると論理的には賛成できません。しかも、「偶然やミスが重なった場合の不幸な冤罪」ならまだともかく、完全に「悪意と怠慢によって作られた冤罪」です。当然、世に出ていない冤罪も多数あると思われるわけで。
そんな状況下では死刑なんてとんでもありません。証拠捏造疑惑として有名なところだと高知白バイ衝突死事故 – Wikipediaとか。

ひとつ文句をいわせてもらうなら、一冊の本として見た場合、真ん中にピークが来てしまったせいで後ろ半分が消化試合になってしまったこと。小説ではなくドキュメンタリーなのでしょうがないんですが。

著者の清水潔氏がTwitterをやっている(清水 潔さん (@NOSUKE0607) / Twitter)ということで覗いてみましたが、案の定反権力。自民党というか政府を批判するRTが目立ちました。そりゃそうだよな。これを書いた人が自民党支持なわけがない。
リストに入れて盗み見しようかとも思いましたが、平野啓一郎と仲よさそうにしているのを見て断念。私この人パヨの中でも最上級に嫌いなんです。理由は割愛。
自民党を倒したいなら自民党を攻撃するよりも野党を建て直す方が先だと気づく人は、一体いつになったら現れるんでしょうか。そういう意味で、マジで2010年代は空白の10年だと思います。そして20年代もそれが続きそう……

最後に。
いろいろありましたがおもしろい本なのは間違いないのでまだ読んでいない人は是非。

※余談。
↑のリンクを作るときに変な特集を目にしてしまった……